薩摩の國から

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2022年冬学期@UCLA公共政策修士課程【各論②:政策分析の統計的手法2(Statistical Methods of Policy Analysis2)】

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Joshua Tree National Park(2021/12撮影)

2022年冬学期@UCLA公共政策修士課程の振り返り。

政策分析の統計的手法2(Statistical Methods of Policy Analysis2」について。

・概要

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Joshua Tree National Park(2021/12撮影)

・内容

統計学の理論の学習に留まった先学期とは大きく異なり、統計分析ソフトの「R」を用いて、住宅、労働、司法、医療等の政策分野に関するデータの回帰分析を行い、最低賃金の引き上げ」と「雇用」のように、2つ以上のことがらに因果関係があるか否かについて、様々な角度から検証するもの。こうした「因果推論」は、経済学で今一番ホットな分野とも言われています。

因果関係………2つのことがらが「原因」と「結果」の関係にある。つまり原因があるからこそ結果がもたらされたということを意味する。もう一度原因を取り入れれば、次も同じような結果が得られることが期待される。
相関関係………2つのことがらは一見すると「原因」と「結果」の関係にあるように見えるものの、実はそうではないような関係のこと。原因と結果が逆であったり、別の第3のことがらのせいでそのように見えてしまっている場合などがある。この場合、もう一度原因を取り入れたとしても、同じような結果は得らえない。

ノーベル経済学賞を受賞したカードによる最低賃金の研究をどこよりもわかりやすく解説! | 「原因と結果」の経済学 | ダイヤモンド・オンライン

 

具体的には、前半は、ひたすら重回帰(ダミー変数 (Dummy Variables) 、相互作用項( Interaction Terms) を含む。)の徹底、

 

後半は、パネルデータ分析、固定効果モデル (Fixed Effect Model) 、差の差分法 (Differences in Differences) 、操作変数法 (Instrument Variables) 、ランダム化比較試験 (RCT) 等を学習しました。

・教員

Wesley Yin准教授(UCLA Luskin | Wes Yin

・備考

・必修科目4単位

・週に75分講義×2、50分ディスカッション×1

・課題は、Problem Set(通常課題)×6

・試験は、中間試験自宅持ち帰り形式、期末試験3時間(対面)

・成績は、宿題50%、中間試験20%、期末試験30%

・コアテキストは、「Introductory Econometrics: A Modern Approach」

・2021年ノーベル経済学賞受賞のデビッド・カード氏の研究

授業で扱った内容で一番印象に残っているのは、上記の差の差分法 (Differences in Differences) を用いて、「労働者の最低賃金を引き上げた場合に、負担が増した企業は雇用を減らすはずだとされていた常識が必ずしも正しくないことを自然実験の手法を用いて実証」した2021年ノーベル経済学賞受賞デビッド・カード氏の研究内容です。

 

詳細は、中室牧子慶應義塾大学総合政策学部教授及び津川友介UCLA助教による、下記の記事及び書籍が圧倒的に分かりやすいので割愛いたしますが、是非ご一読下さい。

この研究では「差の差分析」という研究デザインが用いられている。1つ目の差として、1992年前後の2つの州での雇用率の差を取り、2つ目の差として、ニュージャージー州ペンシルベニア州の雇用率の差を取った。この2つの「差」を取ることで、最低賃金の上昇が雇用に与える効果(「因果効果」と呼ぶ)を推定したのである。

・成績

A+でした。

・今後

内容が難しく、他大学・他学部の統計に詳しい友人から教えてもらったり、2021年ノーベル経済学賞受賞・MIT経済学部のJosh Angrist教授等の動画をひたすら見たり、今学期相当労力を割いた授業だったように思います。

しかしながら、本授業の履修を通じて、データに対する分析手法が確実に増え、今後の業務への応用可能性を感じたので、引き続き、「因果推論」については勉強したいと思います。最近発売された下記の書籍がとても評判が良いのでとりあえず夏季休暇に読んでみたいと思っています。

また、MPPには、本授業の発展版となる「Causal Inference(因果推論)」が毎年冬に開講されているので、是非チャレンジしてみたいです。