薩摩の國から

地域づくりを中心に様々なテーマについてまとめていきます。

2021年秋学期@UCLA公共政策修士課程【各論③:デジタルガバメント(Digital Government)】

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Meyer and Renee Luskin School of Public Affairs

2021年秋学期@UCLA公共政策修士課程の振り返り。

デジタルガバメント(Digital Government)」について。

・概要

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・内容

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行政がデータとテクノロジーを活用する際の原則・注意点等について学習。4週目から、州知事、市職員、弁護士、エンジニアなど、毎週ゲストスピーカーが参加。また、7週目と10週目には、ハーバード・ケネディスクールのケーススタディも実施。

UK Government Digital Service: Moving Beyond a Website - HKS Case Program (harvard.edu)

Cracking the Monolith: California’s Child Welfare Services Disrupts Technology Procurement (A) - HKS Case Program (harvard.edu)

・教員

Alexnader Kapur講師(ハーバード・ケネディスクール卒。GovTechスタートアップの経営者。)

・備考

・選択科目4単位

・週に170分クラス×1。

・課題は、中間プロジェクト×1、期末プロジェクト×1。

・成績は、Class Participation(授業内の発言点)50%、中間プロジェクト15%、期末プロジェクト35%。留学生には中々辛い点数配分です。

・コアテキストは、以下のとおり。これに加えて、毎週大量の参考文献が指定。

・印象に残った授業 ~元ボルチモア市長・元メリーランド州知事のマーティン・オマリー氏~

Smarter Government: How to Govern for Results in the Information Age (English Edition)

一番印象に残ったのは、ゲストスピーカーとして、ボルチモア市長・元メリーランド州知事のマーティン・オマリー氏いらっしゃったこと。

 

(主な業績等)

・当時、ニューヨーク市警察で採用していたのコムスタット(CompStat:GIS(地理情報システム)に、犯罪および警官の配置情報を表記したもの)を参考に、GISに基づく行政を全分野に適用

・年単位ではなく、2週間に1度という短期間で、幹部会議を開催し、パフォーマンスを進捗管理。タイムリーな情報を入手・共有・集計・マップ化できる今だからこそ可能。

・また、市民からの苦情やサービスの申し込みを1カ所で受け付けて管理する「3-1-1 One Call Center」を設立。市職員の対応ぶりを追跡することで、生産性の向上に役立てる。

 

(印象に残った主な発言)

・市の信条は以下の4点。

1「タイムリーで正確な情報を全員で共有する」

2「リソースを迅速に投入する」

3「効果的な戦術と戦略を立てる」

4「絶え間ないフォローアップと評価を行う」

最小単位から始め、数字で結果を確実に残し、フィードバックループをひたすら繰り返す中で、スケールアップしていくことが重要。ボルチモア市も、エクセルを用いて、予算額、出勤状況、残業時間等を把握することから開始。「認めてもらうためには小さくても結果を出し続ける」「数字は嘘をつかない。数字で流れを変えよう」という福岡市の高島市長のお言葉と相通じるものがありました。

「なぜ?」を5回繰り返すことで、問題の根本原因を探り、より実行可能な解決策を導き出すことができる。

夢と目標の違いは「期限」である。しかしながら、「期限」通りに仕事が進まなくても、部下のモチベーションを下げないよう、言い方を工夫する。

(例)「君のチームは一生懸命やっていると思うが、他のチームはどの主要な指標をとっても生産性が高いんだ。他のチームがやっていることで、あなたたちが試してみたいことはありませんか?あなたたちはもっとうまくやれると思うのですが...」

【米国ボルチモア市】市役所の意識改革は、コールセンターとGISで | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)


www.youtube.com

 

・期末プロジェクト

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提出したもの。文字を特定できないよう加工済。

期末プロジェクトは、以下の中から選択せよ、というもの。

・新規デジタルサービス案のプレゼンテーション

・国または地方政府のデジタル戦略の分析

・ジャーニーマップ(ユーザーがサービスとのかかわりの中でたどる一連のプロセスを視覚化したもの)の作成

ケーススタディの作成

 

私は、石川県庁出向時にお世話になった島健一郎さんにお話を伺い、災害時要支援者のためのアプリ「K-DiPS」のカスタマージャーニーマップを作成しました。

K-DiPS | 災害時要支援者の命を守るまちづくり

 

実際に「K-DiPS」を自らダウンロードし、一連のプロセスをたどる中で、ユーザ目線で学びを深めることが出来、思い出深いプロジェクトとなりました。

 

(課題作成の中で生じた主な論点)

・主なユーザーが災害時要支援者であることを踏まえ、多岐にわたるデータ入力の負担をどのように減らすか。

・例えば、乳幼児のオムツはサイズが比較的短期間で変わるが、入力データをどの程度の頻度で更新すべきか。データの新しさと入力の負担とのバランスをどのように取るべきか。

・精神的に負荷がかかるであろう緊急時に適切に使用できる仕組みをどのように構築するか。

・上記に関連して、交流機能など、平常時から使える仕組みを付与すべきか否か。

・成績

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成績はA+でした。担当教員から上記のお言葉をもらうことが出来たので大満足です。