薩摩の國から

地域づくりを中心に様々なテーマについてまとめていきます。

2022年春学期@UCLA公共政策修士課程【総論】

Yosemite National Park(2022/6撮影)

2022年春学期@UCLA公共政策修士課程の振り返り。

・一週間のスケジュール(例)

・米国の政治制度とプロセス(American Political Institutions and Processes)必修科目

・政策分析手法(Methods of Policy Analysis)必修科目

・地理情報システム入門(Introduction to Geographic Information Systems)選択科目

環境分析・政策に関するスペシャルトピックス -海面上昇と社会対応-(Special Topics in Environmental Analysis and Policy -Sea-Level Rise and Social Response-)選択科目

・留学生一人×ディスカッション中心の授業に挑戦

Yosemite National Park(2022/6撮影)

今学期の試みは、留学生が一人かつディスカッション中心の授業を履修したこと。授業名は、「海面上昇と社会対応」。

・留学生が一人であることのメリット

Monterey Bay Aquarium(2022/6撮影)「ファインディング・ドリー」の舞台の一つ。

本授業は、ディスカッション中心で、文学作品を扱うことも多く、英語の要求レベルが非常に高かったです。しかしながら、東日本大震災や故郷鹿児島での水害経験等、クラスメートとは異なる視点で発言出来る材料があったため、毎回積極的に発言することが出来ました。留学生が一人という状況は、言語障壁はあるものの、発言の材料には困らないため、メリットになりうると思います。

・留学生がグループワークですべきことは

本授業では、海面上昇に関する指定図書のグループプレゼンの機会がありました。私がグループワークで気を付けたことは、一番最初のミーティングで、役割分担がしやすい形で、完成物のおおまかな方向性を提示したことです。

 

利点としては、

・主導権を握ることが出来る

・自分の希望する箇所に取り組むことが出来る

・初回の話し合いで右往左往しないので、効率的

・真っ先に貢献することにより、グループメンバーの信頼を得られる

・最終校正やプレゼン時の質疑応答など、高度な英語力を必要とする場面で助けてもらえる

といったことが挙げられます。

 

役割分担を明確に決めれば、米国人学生は各々しっかり取り組む印象なので、一番最初のミーティング時に、自分一人で全て作り上げる必要はありません。ただ、皆が納得する質の見取り図の作成には、入念な事前準備が欠かせません

 

ちなみに、私が取り組んだ図書は、「Island Futures: Caribbean Survival in the Anthropocene 」。ハイチ地震後の復興過程において、支援者の存在により、かえって、被災者の移動手段が断たれ、生活困難地域に被災者が封じ込められる状態となる「Islanding Effect」をはじめとして、被災者と支援者の格差にフォーカスした一冊。語彙が非常に難解で、米国人学生も読むのに相当苦労したと言っていましたが、ご興味ある方は是非。

・最終プロジェクト

最終プロジェクトのテーマは、「2011年東日本大震災による津波から10年後の復興と今後の課題(Reconstruction and Future Challenges 10 Years after Tsunami by the Great East Japan Earthquake in 2011)」。

 

お話を伺ったことのある岡本正弁護士の「災害復興法学」を参照するほか、東北大学井内加奈子先生、震災復興関連業務経験のある国家公務員・地方公務員の方にインタビューを行い、インフラ、法律、人(被災者、行政職員)、コミュニティという4つの切り口で、15分のプレゼンを行った上で、A4×20枚のレポートを仕上げました。

 

15分の英語プレゼンは初挑戦だったため、

・結論→理由といった聞き手に親切な流れにする、ビジュアルに気を遣う等、プレゼンのイロハを抑えた上で、

事前にスクリプトを作成し、個人指導の先生に文章・発音指導をいただく等の準備を行いました。

英語発音トレーニング | アームストロング英会話 | 熊本市

 

結果としては、先生やクラスメートから「Fantastic」と評価いただき、クラスメートの中でも一番質問をいただいたので、大成功だったように思います。

・データの視覚化に関する授業に挑戦

今学期のもう一つの試みは、ArcGIS Proと呼ばれるソフトを用いた、データの視覚化に関する授業を履修したこと。

 

米国の国勢調査等のデータを取得し、精査し、分かりやすい形で視覚的に示すという訓練を、詳細なフィードバックとともに繰り返したことは、大きな財産となった気がします。

 

最終プロジェクトで取り組んだテーマは、「ニューヨーク市における海面上昇」。ニューヨーク市における2050年時点の洪水高リスク地域において、

・収入や人種の観点からどのような偏りがあるか

・2011年のハリケーンSandyの前後でそれらの値にどのような変化があったか、つまり、Climate Migration(高収入・白色人種の人々が高リスク地域を離れて低リスク地域に移動)という現象が見られるか

等について考察を深めました。

 

なお、もうお気づきかと思いますが、このテーマは、「海面上昇と社会対応」という授業から発想を得ました。他の授業と内容をリンクさせるという手法は、当該内容についてより深く考えることが出来るので、お勧めです。

・米国にいるのに英語力が衰える?!

Lake Tahoe(2022/6撮影)。「千と千尋の神隠し」の一場面に類似。

今学期一番苦労したのは、必修科目である「アメリカの政治制度とプロセス」。

 

米国の内政に関する背景知識がないことに加えて、リーディングとライティングの負荷が非常に重く、また、春学期冒頭で感染した新型コロナウイルスによる後れもあり、一時期、リーディングとライティング中心の生活になってしまいました。

 

その際に私が気付いたのは、自覚できるレベルでリスニング・スピーキングの能力が低下していたこと米国留学中だからといって油断すると、英語力はすぐに落ちるので、継続的な取組が重要だと実感しました。

・成績

成績は以下のとおり。

・米国の政治制度とプロセス(American Political Institutions and Processes): A-

総合成績92%ということで、A(93%)にわずかに届かず、悔しいです。笑 先学期の「地域経済発展理論」と同じく、ライティングメインの授業だとどうしても後れを取ってしまいます。

 

・政策分析手法(Methods of Policy Analysis): A+

費用対効果分析等を学ぶもの。この授業におけるグループワークでも主導権を握ることが出来たので、自信がつきました。

 

・地理情報システム入門(Introduction to Geographic Information Systems): A+

最終プロジェクトはほぼ最高点でした。本授業は、ArcGIS Proという有料ソフトを用いるややテクニカルなものでしたが、いずれは、Python等のプログラミングによるGISも学んでみたいです。

 

環境分析・政策に関するスペシャルトピックス -海面上昇と社会対応-(Special Topics in Environmental Analysis and Policy -Sea-Level Rise and Social Response-): A

最終プロジェクトについては、担当教授から「すばらしい。私も大きな学びを得ました。」とお褒めのコメントをいただきました。個人的には一番頑張った授業なので、A+が欲しかったのですが、少人数クラスということもあり、A+は出さない方針とのことでした。

 

なお、1年目の累計GPAは、3.940 (6A+'s, 2A's, 2A-'s)となりました。成績が全てではありませんが、上位数%とされるA+を多数取れたことに一定程度満足しています。

 

引き続き頑張ります。