薩摩の國から

地域づくりを中心に様々なテーマについてまとめていきます。

オススメの10冊 vol.4

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オススメ本10冊、vol.4をご紹介。

 第10位「ごみ収集という仕事~清掃車に乗って考えた地方自治~」

ごみ収集という仕事: 清掃車に乗って考えた地方自治

現場主義をモットーとす若手行政学、新宿区での9か月の清掃業務体験を通じその実態課題、近年進んでいる民間委託の是非等について論じる一冊。

 

印象に残ったのは、清掃業務の過酷さ、奥深さ本書を読んだあかつきには、清掃職員・収集車に対する見方ごみの出し方が、きっと変わっていることでしょう。

・ごみ収集業務を単純な積み込み動作の連続であると思う人が多いだろう。ところが、効率よく業務を進めつつ、身体に負担がかからない理想的な動作が存在し、その追及は非常に奥が深い。(中略)また、(中略)均等に押し込まれるように、左右のバランスをとりながら投げ込む必要がある。

ごみ袋の中には何が入っているか分からない。尖ったものが入っているかもしれない。(中略)慎重にごみ袋をつかみたいところであるが、そんな悠長な仕事をしていたら全量を収集できなくなるし、清掃車の清掃工場への搬入に間に合わない。

・「外に置いておけば収集してくれるだろう」「みんなが投機しているから自分も投機してよい」「業者に出すとお金がかかる」「有料シールを購入するにはお金がかかる」といった気持ちが浮き彫りになる。清掃職員はこうした人間の醜さを寛大に受け止め、それにふたをするがごとく、無言でごみを回収している。

・地域情報の収集・発信であれば、清掃職員は絶大な力を発揮できると思われる。とりわけ、昨今問題となっている民泊、不法滞在、空き家・ごみ屋敷に関する情報は、ごみ収集と密接に連関しており、得た情報をもとに問題を解決する一助になるであろう。

 

第9位「目の見えない人は世界をどう見ているのか」

目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書)

今年は、ブラインドサッカーを通じて視覚障害者の世界を垣間見る機会があり、思わず手に取った一冊。本書のテーマは、視覚障害者がどんなふうに世界を認識しているのかを理解すること。

 

日本では、「知らない」からこそ、障害者への向き合い方が「無関心」か「過剰」になりがちという声をよく聞きます。まずは「知る」機会を積極的に作っていきたいです。

・決定的なのは、やはり「視点がないこと」です。視点に縛られないからこそ自分の立っている位置を離れて土地を俯瞰することができたり、月を実際そうであるとおりに球形の天体として思い浮かべたり、表/裏の区別なく太陽の塔の三つの顔をすべて等価に「見る」ことができたわけです。

・見える世界に生きていると、足は歩いたり走ったりするもの。つまりもっぱら運動器官ととらえがちです。しかしいったん視覚を遮断すると、それが目や耳と同じように感覚器官であることがわかる。足は、運動と感覚の両方の機能を持っているのです。

・障害と無関係な人はいません。(中略)年をとれば、多かれ少なかれ障害を抱えた身体になるからです。日本はこれから、どの国も経験したことのないような超高齢化社会に突入します。(中略)そうなると、人と人が理解しあうために、相手の体のあり方を知ることが不可欠になってくるでしょう。

・見えない人の頭の中のイメージは、見える人の頭の中のイメージよりも「やわらかい」のではないか。(中略)見えない人は、入ってきた情報に応じて、イメージを変幻自在にアップデートできる。つまりイメージに柔軟性がある。

 

第8位「石原信雄回顧談」

石原信雄回顧談ー官僚の矜持と苦節

自治事務次官内閣官房副長官を歴任された石原信雄氏の著作。

 

難しく思われる地方自治制度ですが、石原氏の柔らかい口調で語られる制度改正の経緯、基本的な考え方を読むと、スッと理解できる気がしました。

 

またリクルート事件、大喪の礼など内閣官房副長官としての官邸勤務エピソードも満載。特に公務員や学生にオススメ。

・課長補佐ぐらいまでは、税なら税の議論を展開したらいいと思う。課長になると他の省との議論もあるから、徹底抗戦ではなくて、ある程度まとめを意識するようにする。それで、局長になれば、政治との接点に立たされるわけだから、大局判断もできるようにならないといけない。

・日本は連邦国家ではなく、単一国家なんだから、事柄の性質上、中央政府がイニシアティブを取らなければならないものというのは当然にある。しかし同時に、執行にあたっては実際の任に当たる地方団体の言い分は、十分反映させなければならない。要するに「お上」の指示で一切問答無用というのは、いけないんでね。だから、国と地方は横の関係も縦の関係もあるわけで、一口に「対等」がどうかと決めつける議論は意味がない

地方財政平衡交付金は、地方の最低限の財政運営を保証するという考え方に立っていますから、地方の財政運営を保証するという理念は捨てたくないという考え方が自治庁にはありました。しかし三好さんは(中略)そんな理想論では無理だと言うんです。(中略)地方財政平衡交付金制度の見直しに当たって、(中略)両方の折衷として決まったのが、配分方法は地方財政平衡交付金の方式を使う、総額については国税の一定割合として決めるということでした。

・事務の副長官は各省庁の官僚の世界と時の政権との接点です。(中略)官僚組織の中立性と政権の持っている政治色の間で、どういう政権が誕生しようとも国民のために最善の行政サービスができるようにするという使命がありますから、それを各省に徹底させるという役割です。

 

第7位「ミネルバ大学

世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ

今、世界で最も注目を集めている驚異のベンチャー大学「ミネルバ」に迫る一冊。既存教育・大学が抱える問題点を解決する、画期的なプロジェクトにきっとワクワクすることでしょう。

 すべての授業をオンライン化したミネルバ大学は(中略)学生たちが4年間で7つの国際都市を巡回し、滞在地で現地の企業、行政機関、NPO等との協働プロジェクトやインターンを経験しながら現地の人たちと同じ生活を営む。

教員は自分の滞在している研究施設から授業を行うことができ、その分移動コストと時間を研究活動にあてることができる。

・豪華なキャンパスや施設の建設に伴う負債を持たないこの大学の学費は年間150万円、既存の米国トップエリート大学の3分の1未満だ。

・今日の社会では、情報は容易に入手でき、知識そのものは陳腐化している。教育に求められる役割は知識を伝えることから、情報を解釈し、自分の直面している課題に応用できる思考技能と、自分の考えを効果的に周りの人々に伝え、よりよい結果を導けるようにするコミュニケーション能力の養成にシフトしている。

ミネルバ大学では、大学1年目に学生にこれらの個人の思考力と対人コミュニケーション力を徹底的に学習させる。(中略)そうした「学び方」を習得した学生たちは、これらの約115項目のコンセプトを、2年生から卒業までの3年間に自分の注力する分野に活用したり、他の分野にも応用したりできる力を養う。

・基礎科目や講義形式の授業は存在しない。授業には事前課題を提出した学生のみが参加でき、学生同士のディスカッションを中心に授業を進行させるため、90分間のうち、教員が話せる時間は合計10分と定められている。

 

第6位「金沢の気骨」

金沢の気骨?文化でまちづくり

北陸新幹線開業から3年経った今もなお、訪れる人が絶えない金沢その個性と魅力について、金沢市を20年間務めてらっしゃった山出保氏の視点で学べる一冊。石川県に赴任した自分にとっては、非常に思い入れがあります。

・学術を知りたくて、歴史と文化に触れたくて多くの人々が訪ねてくる。まちがにぎわっている。その光景を見て、金沢を観光都市みたいと言うのならいい。観光そのものが金沢に来る目標であってほしくない。観光は、まちの魅力の結果であってほしいというのが私の持論です。

伝統も革新の営みを行ったら、それは伝統ではなく単なる伝承もしくは踏襲でしかない(中略)伝統を継承することと、新しいものを創造することは、いずれも金沢の文化が背負う宿命的な課題です。

・金沢の「顔の見えるまちづくり」は、戦後、日本の都市が陥った個性の喪失と画一化へのアンチテーゼとして進めてきたのです。

 

第5位「貞観政要

貞観政要 (ちくま学芸文庫)

国史上でも屈指の名君として知られた唐太宗とその名臣との政治問答集。日本でも北条政子徳川家康をはじめ、為政者や企業経営者が愛読していたとのこと。

 

広く人材を登用し、諫言に耳を傾け、常に緊張感を持って政治に取り組んだその姿は、「指導者の条件」「人材の登用」「後継者の育成」等の観点から、現代人に生きる我々の参考になります。今後、毎年一冊は中国古典を読みたいものです。

『君は舟なり、人は水なり』

 貞観六年、太宗が側近の者に語った。「昔の帝王の治世を調べてみると、最初、日の出の勢いにあった者でも、朝のあとに日暮れがくるように、きまって滅亡の道をたどっている。その原因は、臣下に耳目を塞がれて、政治の実態を知ることができなくなるからだ。忠臣が口を閉ざし、へつらい者が幅をきかせ、しかも、君主はみずからの過ちに気づかない。これが国を滅ぼす原因なのである。

 

・第4位「ボローニャ紀行」

ボローニャ紀行 (文春文庫)

直木賞作家、井上ひさしさんの深い洞察によるイタリア都市ボローニャの紀行。

 

「国という抽象的な存在ではなく、目に見える赤煉瓦の街、そしてそこに住む人たちのために働く」という「ボローニャの精神」は、今後、地域課題がますます多様化する日本において、参考になると思います。

たったの四人の映画好きから始まったチネテカが、(中略)いまでは世界一の映像センターになり、映画の未来を育てている。(中略)好きなことに夢中になっている人たちに資金を提供すること、奇跡はそこから始まるのです

・路線バスの巨大な車庫はホームレスたちの更生施設に、貴族の館は保健所や保育所や集会所や劇場に、女子修道院はヨーロッパ一の女性図書館に、広大な王立煙草工場は世界一の映像貯蓄センター「チネテカ」に、証券取引所児童図書館や一般図書館に、そして家畜市場は千四百名を擁する老人クラブと、学生寮保育所やコンサートホールや図書館などの複合施設に生まれ変わりました。(中略)歴史的建造物を壊すことをせずに、その中身は現在の必要のために使うというやり方は、「ボローニャ方式」と名づけられ、世界へ広まっていきました。つまりボローニャは都市再生の世界的なモデルになったのです。

・身の回りをよく見て、人助けができないかなと考える。そしてその人助けを組合化して形のあるものにする。こういうのをあたしらは社会的発明と呼んでいるんだよ。 

・市民たちはいま、候補者の質を見きわめようとしているんです。同時に候補者を鍛えてもいるんですね。このような市民集会は、市長選まで何十回と持たれるでしょう。そのたびに候補者は市長にふさわしくなっていくわけです。

 

第3位「福岡市を経営する」

福岡市を経営する

アナウンサーとして福岡市の魅力と課題を伝え続けてきた経験を活かし、福岡市長として活躍されている高島宗一郎氏の仕事論・人生論(特にリーダー論)がまとめられた一冊。自治体経営のみならず企業経営にも大いに参考になると思います。

・政治の世界に限らず、どんどん若い人が意思決定層に入っていくべきです。(中略)まず小さくてもいいから、確実な「結果」を出すこと。(中略)目に見える「数字」を示すことが突破口になります。

・リーダーとしてもっとも大切なことは、常に冷静に判断する精神状態でいることだからです。頭と体の作業スペースに空きを作ることで、世の中の最先端の動きを学ぶ時間も持てますし、緊急の事態にも柔軟に対応できるようになります。

・「市民が何を知りたがっているのか」をつかみ、シンプルに伝える能力が必要です。(中略)私は今でも、役所で事業の説明に来る職員に「その説明であなたの奥さんや彼氏は最後まで飽きずに真剣に聞いてくれますか?」と聞くようにしています。

・都市という、市民に最も身近で個性が濃縮された最小単位の政府が、地域特性を活かしてフットワークよくビジネスマッチングや文化交流を後押しできる環境が、LCCの登場や情報通信環境の進化により劇的に整ってきたのです。

・日本を最速で変える方法は、(中略)まずは地方都市など現場を限定して「実際にやってみせる」こと。

 

第2位「災害復興法学」

災害復興法学II

本書では、東日本大震災直後から無料法律相談を通じて集められた被災地の4万人の声を受けて、法律家が集約・分析した上で制度提言を行うところから、相続放棄の熟慮期間の延長特例など、国の制度改正等に至るまでの過程が丁寧に描かれており、防災リーガルリテラシーを十二分に学ぶことが出来ます。

 

また、第2巻では、災者生活再建支援金の「半壊の涙」問題といった今後の課題や、災害直後から生活再建までを意識した防災教育についても触れられており、示唆に富んでいます。

 

地方の声を受けて国の制度等を改正する、地方分権改革の「提案募集方式」に携わっている身としては、大変興味深く拝読させていただきました。防災や公共政策に関心のある方、必見です。

・必死の思いで、すがるような思いで、弁護士に相談した被災者。(中略)この被災者の「声」を集約、分析し、ニーズに応じた制度を作り上げる手助けができないかと。

東日本大震災というあまりに巨大な災害を前にしたとき、既存の法律だけではどうしても解決に導けない。(中略)法律実務と理論構築のプロフェッショナルとして、実のある政策提言をすることが法律家の務めであると、改めて革新することとなった。

・住宅などが壊滅してしまい、手がかりすら流出した状態から借金を漏れなく把握し、相続するか、放棄するか、を決めることなど、3か月という短期間では不可能である。

・「全壊」と「大規模半壊」の認定を受けた世帯にしか被災者生活再建支援金は支払われない。(中略)「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」の4区分により、支援制度の狭間に落ちる不合理を見直す時期に来ている。

・防災とは、災害直後に命や財産を守ることに尽きない。生き残った命を繋ぎ、希望の一歩を踏み出し、生活や事業を再建する知識の備えをすることも「防災」に他ならない。

 

 

第1位「Learn Better」

Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ

本書のテーマは、事実情報の価値が激減した現代社会に必須である新しい知識やスキルをいかに効率的に習得し、活用するか」という視点。Amazon2017年ベスト・サイエンス書

 

努力する前に、まずその仕方・方向性を考えることは非常に重要。自分なりに考えたやり方と共通する部分も多かったので、早速実践あるのみ。

 

<ポイント>

・学習に価値を見出すべく、学習と自分(の生活)との関連性を探すこと

・目標は具体的に、簡単すぎず、難しすぎずといったレベルで設定すること

・知識を発展させるべく、「なぜ」と自問自答する、議論する、人に教えてみる、五感で味わうこと

・個別の事実ではなく、それらの関係性、その根底に存在する思考体系を学ぶこと(その際、「もし~だったら」という仮定思考実験や、知識を図にするマインドマップの活用、類似性を見出すアナロジー思考が有用)

・人間は過信しやすいため、見直す意識を持つこと(その際、メールで打ったものであれば声に出して読んでみる等の表現媒体の変更により誤りが発見されやすくなる)

忘却曲線を意識しながら、長期スパンで定期的に再学習(分散学習)すること

スマホ等の集中力を阻害するものから離れ、一人で熟慮できる時間を取ること