今回は、SIMいしかわ2030で初の取り組みとなる、高校生への出張授業を開催。
高校や大学の先生方から、「授業で使えませんか?」とお声がけいただくことが多いので、今回は学生がSIM2030を通じて学べる事について、考えてみました。
※SIM2030の概要については、以下リンク参照
・「能登高校魅力化プロジェクト」とは
能登町HP
http://www.town.noto.lg.jp/www/info/detail.jsp?common_id=12472
・「高校生」が「SIM2030」を通じて学べること
ゲーム感覚で、楽しく、
①地域を知り、興味を抱き、愛着を持つきっかけ
SIM2030では、地域が抱える様々な社会課題を、市の幹部として、仮想体験することとなるため、自分が住む地域を知るきっかけになると思います。
SIMいしかわ2030では、観光、若者、高齢者、インフラ、災害と、バランスよく味わってもらうべくテーマを厳選しています(AIも検討中です)。
②「政治・経済」を身近なものに
SIM2030では、厳しい財政の中、事業を削る必要があるので、一つ一つの仕事が自分たちにとって必要かどうか、本気で考えさせられます。つまり、行政のシゴト(税金の使われ方)、自分の生活への関わりを知ることが出来ます。
また、議会役による査定も用意されているので、議会のシゴトや存在意義についても学ぶことが出来ます。
③大学・社会人への入り口
SIMで与えられる課題は、現実の社会課題がそうであるように、正解がないもの。
多面的なモノの見方(正義の反対は悪ではなく、もう一方の正義)に加え、長期的なモノの見方も身に着けられると思います。
また、台本が用意されているため、各々が自然と議事進行や発言をする機会があり、対話能力向上も期待できるでしょう。
・高校生版で工夫したこと
①「財政」や「議会」の概念について分かりやすく伝える
今回は、ゲームの中で当たり前のように出てくる「財政」と「議会」などの言葉について、神野直彦氏(東京大学名誉教授)の著書を参考にしながら、時間をたっぷりとって解説。
本書は、岩波ジュニア新書ということもあり、「財政」「議会」「税金」「選挙」などの概念について、お互いの関係性も含め、非常に分かりやすく解説されています。
個人的に参考になったと思うのは、「皆さんは朝起きたら、まず何をしますか?」という問いかけをすること。
クイズ形式で、顔を洗う水道水、通学路、学校の建物、先生の給料などの学生に身近なものが、実は「財政」によって供給されていること、遠い存在のように感じる「財政」が、実は私たちの暮らしに密接に関連していることを伝えることができます。
②各班にファシリテーターを設置
SIM2030は、各プレイヤーにセリフが与えられていて、ある程度の議論の材料は用意されているものの、そこから先は各プレイヤーの想像力、経験、知識などに任されている部分は否めません。
高校生の場合、どうしても経験・知識が不足していたり、そもそもディスカッション自体に慣れていなかったりする可能性が高いので、今回は、議論を円滑に進めるため、ファシリテーター(鳳雛塾の先生方)を設置することとしました。
以下、細かい話にはなりますが、他にも様々な工夫を実施!
・シナリオ(台本)にイラストやグラフをなるべく入れることで、参加者がイメージを持ちやすいものにする
・査定時、班のメンバーと話し合うことが出来る作戦タイム制度を導入する
※通常版では、その場で機転を利かせて頑張ってもらう場合が多い。
・「対話」を促すため、なるべく友人同士で班を作ってもらう
※通常版では、先入観を排除するため、初対面同士で班を作るという鉄板ルールあり。
・一番最初のラウンドは、 ルールをよく理解してもらうため、課題を一つに絞る。
・今後の展開
最初は緊張した面持ちでしたが、次第に慣れてきたのか、生徒の顔から笑みが・・!
個人的に印象に残ったのは、「伝統工芸品を用いたゴミ箱を街中に設置する」という斬新なアイデア。
街の方々が思わず捨てたくなる素敵なゴミ箱を設置することで、まちの美化を図り、まちの魅力化・ゴミ処理費用削減を狙うという案のようです。
これまで多数開催しましたが、初めて出てきた意見で、こちらが勉強になりました。
〇参加者の感想
・頭を使い過ぎて終わった後めちゃくちゃお腹すいたし、寿命が縮まるかと思った・・・(笑)
・何もするにもお金がないと本当に大変だと感じた。でも、お金がない状況でもみんなで考えたら、ユニークな発想や考えが出てきておもしろかった。
・みんなで考えられたからこそ切り抜けられたワークショップだと心底思う。
・終わったあとの達成感が気持ちよかったし、とても楽しかった!
(まちなか鳳雛塾facebookページより)
能登町では、引き続き、SIMの体験会や能登版の作成が検討されているとのこと。
SIM2030で一番の楽しみ方は、実は「体験」ではなく「作成」だと個人的に思っているので、高校生によるSIM2030作成プロジェクトなど、実現したらとっても素敵だなと思います。いずれにしても引き続き応援していきたいです。