薩摩の國から

地域づくりを中心に様々なテーマについてまとめていきます。

垣内俊哉著 「バリアバリュー 障害を価値に変える」

ミライロ代表取締役社長の垣内俊哉氏著、「バリアバリュー」読了。

 ・バリアバリュー

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「バリアバリュー」とは、「バリア(障害)」を「バリュー(価値)」に変えること。

すなわち、「短所」を「長所」に変えるということ。

 

筆者は、生まれつき骨が弱くて折れやすく、車椅子生活を余儀なくされたとのこと。

 

しかしながら、車椅子から見える高さ106センチの視点という、他の人とは違う視点を生かし、ユニバーサルデザインという市場で、株式会社ミライロは設立6年目にして、年商2億円の企業に成長したのです。

 

自分の「弱み」を「強み」に変えること、見方を変えることは、決して簡単ではないと思います。

 

本書においても、筆者が「障害」に挑み、もがき苦しみ、自ら命を断とうとした場面についても言及されています。

 

そこから、様々な出会いや出来事を経て、視点を変えるまでに至った筆者の思考の深さ、姿勢には驚くばかり。「人生の長さは変えられなくても、人生の幅は変えられる。」という筆者の言葉が突き刺さります。

 

・ユニバーサルマナー

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本書で最も印象に残った言葉は、「ユニバーサルマナー」。

 

予算やスペースの都合で、ハード面を変えることが難しくとも、

スタッフの対応の仕方等、ソフト面を変えるだけで、実に多くの問題が解決される場合があり、筆者はこれらをユニバーサルマナーと名付けたとのこと。

 

・日本の現状~「無関心」か「過剰」の両極端~

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では、日本の現状はどうか。

設備面では優れているものの、向き合い方においては、高齢者や障害者に対する不安から、そして日本人特有の繊細な優しさから、「無関心」か「過剰」になりがちとのこと。

 

・一声かけること

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具体的な例(「過剰」の場合)を見てみましょう。

 

車椅子でレストランに入った場合、店員はどのような対応をするべきでしょうか。

 

さっとテーブルの椅子を片付け、席まで案内することでしょうか。

答えは、否。過剰な配慮になってしまう危険があります。

 

なぜなら、車椅子に乗っている人の中には、テーブルの椅子に移りたいと考えている人もいるからです。

車椅子だとテーブルとの高さが合わずに食べづらく、しかも、大抵の人はずっと車椅子に座っているので、椅子を変えた方が楽だったりします。特に、高齢の方は床ずれが出来やすいので、椅子に移った方がいいでしょう。

 

では答えは何か。

それは、「何かお手伝いできることありますか?」「車椅子のまま食事をとられますか?それとも、椅子に移られますか?」と一声かけること。このことが双方にバリューを生むこととなります。

 

障害者や高齢者に対し、気軽に声をかける習慣が根付けば、よりよい社会になりそうですね。

 

ユニバーサルデザインが必須の時代へ

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障害者差別解消法の施行や、LGBTへの配慮が進むことにより、今後ますますハードとソフト両面でのユニバーサルデザインが求められていきます。

 

また、2020年に開催される東京オリンピックパラリンピックは、ユニバーサルデザインを広げていく大きなチャンスのようにも思います。

 

ユニバーサルデザインの時代が訪れようとしている今、是非皆さんも一読してみてはいかがでしょうか。