オススメ本10冊、vol.3をご紹介。
・第10位「明るい公務員講座」
前復興庁事務次官の岡本全勝著「明るい公務員講座」。事務次官まで上りつめた方の仕事のやり方について、分かりやすくユーモラスに描かれています。当たり前だけど、とっても大切なことばかり。読んで終わりにせず、実践していきたいものです。
・第9位「1984年」
二十世紀世界文学の最高傑作と言われるジョージ・オーウェルの著書。徹底的な監視・思想統制が行なわれる全体主義国家において、主人公が人間らしさを失っていく過程が見事に描かれた一冊。「人間とは何か」について考えざるを得ませんでした。物事に対するオーウェルの深い洞察は、現代社会でも十二分に説得力を持つものであり、近年改めて着目されているようです。重いですが、オススメです!
第8位「フェルマーの最終定理」
フェルマーの最終定理とは、350年に渡り数学者を苦しめた数学界最大の超難問。本著は、天才数学者ワイルズの完全証明に至る波乱のドラマを軸に、数学者たちの苦悩が描かれています。サイモン・シンの著作の特徴は、未知のテーマでも、分かりやすく、感動的に伝えてくれること。たとえ数学が全くの初心者でも、数学者自身の物語、そしてフェルマーの最終定理に対する彼らの情熱に心揺さぶられること、必至です。
第7位「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」
世界30か国以上に翻訳され、ベストセラーとなった「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」。東田直樹さんの素直で感性豊かな美しい文章が身に沁みる一冊。未知の世界だった「自閉症」の世界がほんの少し理解できた気がします。正直、「知らない」からこそ、怖がる、遠ざかる人は多いと思います。まずは「知る」ことから始めるべきではないでしょうか。
・第6位「虫眼とアニ眼」
小さな虫の動きも逃さず捉えて感動できる「虫眼の人」養老孟司と、日本を代表するアニメ(眼)の人」宮崎駿が、宮崎作品を通して自然と人間について語る一冊。それぞれ専門分野の第一人者だからこその鋭い視点が非常に学びが深く、大好きな「もののけ姫」と「千と千尋の神隠し」に込められた意味が中心となっているので、一層楽しめた気がします。
・第5位「日本につけるクスリ」
本書は、小泉内閣で郵政民営化などを進めた竹中平蔵氏と、日本一社会問題に詳しい男・リディラバ安部敏樹氏の対談本。「税」「格差」「政治」「地方自治」「メディア」「教育」「少子高齢化」といった日本が抱える社会課題について、ミクロとマクロの両面で熱い議論が交わされます。以下の安部氏の言葉は、私が「SIM2030」という取り組みにおいても、重要視している考え方で、非常に共感しました。
「社会全体に対して当事者意識を持ち、痛みも含めてみなと共有し、ともに未来を作り出していける市民や国民をできるだけ多く生み出していくこと」が、いちばんのクスリだと信じてやまない。「いまはまだ大丈夫」「自分にはそんな問題関係ないから」という社会に対する無関心を乗り越えてこそ、クスリの効果は見えてくるのだ。
また、本書には気づきがたくさん。印象に残る一文が必ず見つかるはずです。
・「知るべき情報」を伝えるジャーナリズムでは、「知るべき情報」を求める読み手を育てられるかが重要です。
・シェアリングエコノミーの場合、顧客と運転手がデータをもとにお互い審査できるから、公的な決まりごとがなくてもクオリティや安全が担保されてしまう。だから、これからは「業界VSプラットフォーム」ではなく「国VSプラットフォーム」の戦いになると思います。なぜ戦いになるかと言えば、誰に資格を与えるかという「審査」こそが役所の財源であり、官僚の権力そのものだからです。
・僕は「Done is better than perfect」、つまり「やりきることは完璧にすることよりも尊い」と思っています。完璧を目指しちゃったらいつまで経っても進まない。仮説検証を回していろいろ試すから、結果的によりパーフェクトに近い方法が見つかるんです
・第4位「キャスターという仕事」
1993年4月から23年間、多くの視聴者に愛されてきたNHKのクローズアップ現代。そのキャスターを務めていらしゃった国谷裕子さんの著書。今年は、「伝える」難しさを十二分に感じた1年だったので、大変勉強になりました。「伝える力」が重要視される現代社会において、是非皆さんに読んでいただきたい一冊です。
・メッセージがシンプルな番組の方が視聴率を取りやすい、などと言われる傾向がある中で、「わかりやすく」することでかえって、事象や事実の、深さ、複雑さ、多面性、つまり事実の豊かさを、そぎ落としてしまう危険性があるのだ。
・準備は徹底的にするが、あらかじめ想定したシナリオは捨てること。言葉だけでなく、その人全体から発せられるメッセージをしっかり受け止めること。長い間、インタビューを続けてきて、たどり着いた結論は、このことに尽きると思っている。
・インターネットで情報を得る人々が増えているが、感情的に共感しやすいものだけに接する傾向が見られ、結果として異なる意見を幅広く知る機会が失われている。そして、異質なものに触れる機会が減ることで、全体を俯瞰したり物事の後ろに隠されている事実に気づきにくく、また社会の分断が進みやすくなっている。
第3位「バッタを倒しにアフリカへ」
バッタ被害による飢饉問題を解決するため、若い博士が単身サハラ砂漠に乗り込み、バッタと大人の事情を相手に繰り広げた死闘の日々を綴った一冊。ユーモアたっぷりの驚きエピソード満載なので、腹を抱えて笑いながら読みました。夢に向かって果敢にチャレンジする筆者から元気をもらえるとともに、「アフリカ、サハラ砂漠での暮らし」や「学者として稼いで生きていくことの難しさ」も感じられる一冊です。
第2位「SHOE DOG 靴にすべてを。」
皆さんご存知のブランド、ナイキの創始者フィル・ナイトに迫る一冊。驚いたのは、現在の成功ぶりからは全く想像できない数々の波乱万丈エピソードや、フィルナイトの驚くべき闘争心・行動力、そして、日本企業(現アシックス・双日)との深いつながり。ジェットコースターのような人生の追体験ができる一冊なので、きっと何かしらのヒントを得られることでしょう。
思っている以上に人生は短く、人生は朝のランニングのように束の間であることを、私は痛切に感じていた。だからこそ、自分の時間を意義あるものにしたかった。目的のあるもの、創造的で、重要なものに。そして何より、人とは違ったものに。私は世界に足跡を残したかった。私は勝ちたかった。いや、そうじゃない。負けたくなかったのだ。
第1位「旅をする木」
星野道夫著「旅をする木」。アラスカの大自然に身を置く筆者のエッセイで、自然豊かな場所への旅のお供にもってこいの一冊。この本を携え、石川県中を巡った一年だったような気がします。美しい文章が散りばめられていて、本当にオススメ。名言ばかりです。
『人間の気持ちとは可笑しいものですね。どうしようもなく些細な日常に左右されている一方で、風の感触や初夏の気配で、こんなにも豊かになれるのですから。人の心は深くて、そして不思議なほどに浅いのだと思います。きっと、その浅さで、人は生きてゆけるのでしょう