PLUS KAGA Project2017の最終発表に参加。
・「意見提言」から「実行」へ
「地域に学生が飛び込み、意見提言する」ことは、全国各地で行われており、珍しいことではありません。以下のような厳しい声もよく聞きます。
・学生達が一生懸命出したアイディアであっても、ありきたりな案だったり、企画内容・採算性のレベルが低かったりする。
・予算をかけて実施しても、「マスコミに取材され、イベントも盛況だった」と話題性だけが取り上げられる。
そんな中、PLUS KAGA Projectは、
学生の定着率が高く、
第1期生(昨年度参加者)の中に、
加賀市を舞台に卒業論文や長期プロジェクトを「実行」する学生が出てきたのは、
大きな前進と言えるのではないでしょうか。
・例えば・・・
PLUS KAGA Projectの学生のプロジェクトは、
個性豊かで、おっ!と思わせるものばかり。
①古民家を訪ね、東京から加賀市までの438㎞を歩くプロジェクト
古民家鑑定士の資格を持った大学生の企画。
東京から加賀市まで歩くという発想はなかなか出てこないものです。
②加賀波coffeeプロジェクト
いろんな加賀のカフェのコーヒーを実際に飲んで頂き、
加賀のカフェを少しでも多くの方に知って頂き、
新しいカフェへ行ってみるきっかけ作りをお届けするプロジェクト。
コーヒーを通して、人と人を繋ぐ具体的な提案で面白いです。
誰もがよく飲むコーヒーだからこそ、チェーン店がないからこそ、の企画のような気がします。大盛況のようです。(都合をつけて、是非参加してみたい)
③片山津スローナイト企画
広場を活用して、屋外シアターを上映するプロジェクト。
屋外シアターは、趣があります。上映が「ローマの休日」、センスが良いです。
鹿児島県長島町で山をスクリーンにしたときのことを思い出しました。
④加賀五十六カ寺調査巡礼プロジェクト
卒業論文のテーマとして、市内の全寺院を一軒一軒訪問し、
これからの社会における寺院の役割を考察するプロジェクト。
地域における寺院と聞くと、小布施町の浄光寺を思い出します。
新しいスポーツが行われる場、子供たちの集まる場になっていました。blog.livedoor.jp
⑤空き家プロジェクト
卒業プロジェクトとして、加賀市の空き家に実際に向き合うプロジェクト。
これからのプロジェクトとのことなので、成果が楽しみです。
文字で感じる「空き家活用」と実際の「空き家活用」、大きく違います。私も、空き家の錆をひたすら取った経験があるのですが、「空き家活用」って労力を伴うものなんだと実感した記憶があります笑
⑥匠のかくれ里プロジェクト
九谷焼作家のプロフィール集を作成することで、
職人と使用する方の交流を図り、新しい九谷焼の在り方を探るプロジェクト。
実際に百貨店での配布が決まっているとのこと。
「現代のニーズに合わせた新しい伝統工芸」、面白いと思います。
加賀市出身の大学生だからこそ、九谷焼だからこそ 、という強みも聞いてみたかったです。
・学生が「定着」する理由
①個性豊かな学生が「集まる」理由
PLUS KAGA Projectには、個性豊かな学生が、理系文系問わず様々な分野(特に、都市工学、建築、デザインなど)から集まります。
その理由として、加賀市自体の魅力はもちろんのこと、以下のようなものが考えられると思います。決して特別な理由はありません。想いを持って、真摯に実行できるか、それに尽きると思います。
ⅰ魅力的なコーディネーター
コーディネーターは、三島先生。
1979年生まれ。東京都出身。
慶應義塾大学環境情報学部卒業。
ハーバード大学大学院デザインスクール・ランドスケープアーキテクチャー学科修了(MLA)
2015年に株式会社フォルクを設立し、植栽デザインからパブリックスペースのデザイン、地域デザインなど、様々な領域・スケールのプロジェクトに携わる。
生徒一人一人と真摯に向き合っている印象を受けます。
最終プレゼンで、視覚に訴えるもの(デザインが優れたもの)が多いように感じるのは、学生の能力に加えて、三島先生のおかげもあると思います。また、昨年の話ですが、学生のプレゼンを地に足の着いたものにさせるため、「まず第一歩として何が出来るか」というフレーズを必ず入れさせるやり方には感心しました。
ⅱ質の高い情報発信
PLUS KAGA Projectでは、実施期間中、映像作家の方が同行し、
素敵な動画を作り上げます。他地域の企画では中々見られないクオリティ。
参加した学生たちにとっては、良い思い出になるだけでなく、
この動画を見て、「加賀ってこんなところなんだ!」「面白そう!」「楽しそう!」と思う学生は、多いはずです。
実際、楽しそうで、私も学生に戻って参加者になりたいです笑
加えて、1期生の活躍ぶりも良い影響をもたらしていることでしょう。
②学生が「定着」する理由
ⅰ一人一人発表するというスタイル
PLUS KAGA Projectでの発表は、一人一人発表するというスタイルをとっています。
参加者数が10名程度という小規模だからこそ実現できることです。
このやり方のメリットは、各参加者が自分のアイデアを思う存分突き詰められること。尖ったアイデアを取りこぼす恐れがありません。
自分が一番やりたいことだからこそ、「実行」に踏み切る学生も多いのではないでしょうか。
グループ発表にももちろん良さはあります。一長一短です。
ⅱ地域の方々との交流
地域の人との交流が数多く設けられているのも魅力。
若者にしっかりと意見を言ってくれる、そして、やりたいことを応援してくれる加賀市の温かさのようなものが魅力なのだと思います。私は毎回最終プレゼンに参加していますが、地域の人たちのコメントに真剣みを感じます。
実際、私も大学3年生の時に加賀市に受け入れていただき、縁あって石川県に赴任し、こうして関係が続いているのは、なんだか不思議な感じです。
・是非参加してみては?
次回の開催は、2月を予定しているとのこと。
とっても良い体験になると思うので、是非参加してみてはいかがでしょうか。