創刊号から購読している「長島大陸食べる通信」。
今回、鹿児島県長島町を訪れるにあたり、「食べる通信で取り上げられた生産者の方にお会いしてみたい」という思いが強く、その中でも特に気になった、「しゃべらない木と会話する」デコポン農家・山上農園を訪問させていただきました。
・「長島大陸食べる通信」とは
食べる通信とは、史上初の食べ物つき定期購読誌。
誌面では、長島町の農家や漁師の情熱と苦闘の物語を知ることが出来ます。
読者は、読者限定のSNSグループに加入でき、レシピ交換、生産者への質問、交流イベントやコミュニティへの参加も可能となっています。
・山上農園で印象に残ったこと
石川県能美市、「日本一小さい農家」の西田さんにお話伺った際もそう思いましたが、農家の方の哲学は本当に面白いです。
①しゃべらない木と会話する
先代の山上隆之さん。
柑橘各種の栽培を始めてから約半世紀とのこと。
印象的だったのは、「大事なことは、しゃべらない木と会話すること。」という言葉。
「しっかりと樹と向き合い、注意深く樹を見て観察すれば樹の方から語りかけてくれるから何をすれば良いかが分かる」とのことでした。
自分の目で枝や葉のほんの少しの違いを観察することで樹の健康状態や土壌の状態、病害虫の発生状況を把握することができ、灌水や施肥、整枝・剪定、防除(消毒)のタイミングを決めることができます。その結果として最良の果実となり、お客様の満足度を上げることができるというわけです。
②消費者の年齢や好みを意識した販売
「家庭教師のトライ」を手がけるのトライグループ執行役員を務めた後、2011年長島町にUターンし、実家の山上農園を継承された博樹さん。
学びになったのは、消費者の年齢や好みを意識したマーケティング。
なんとリピート率は、85%。
2014年から導入した光センサーで、糖度と酸を測り品質管理し、注文される方の年齢や好みに応じて、甘いものや、少し酸味があるものを送られているとのこと。驚きでした。
③1つ一つのデコポンに正面から向き合う
そんな販売戦略が可能なのは、山上さんが
一つ一つのデコポンに正面から向き合うから。
デコポンには、一つ一つ糖度と酸のシールが貼ってあり、
その数、なんと6万個。
質を落としたくないという思いから、あくまで家族経営(小規模経営)で行っており、
その日も、倉庫に寝泊まりし、睡眠も数時間とのことです。
山上さんの努力によって、こんなにも美味しいデコポンが栽培されているのだとということをひしひしと感じました。
③会いに行くからこそ味わえるもの
今が旬のデコポン。
直接伺うからこそ、市場では出回らない大きなデコポンや樹上完熟のものをおすそ分けいただきました。これが本当に美味しい。果物屋の孫が言うのですから、間違いありません!
一流百貨店でも贈答用として採用されていますし、お世辞抜きでオススメです。
・生産者に会ってみませんか?
長島大陸食べる通信、新編集長の海太くん。
これからの時代、「日本一小さい農家、西田さん」の言葉を引用させていただくなら、
「普段食べている食の質を問う時代=命の時代」となってくるように思います。
石川県能美市、日本一小さい農家の西田さん。
・バーテンダー・ホテルマンの経験を生かした、お客様目線の販売戦略
・家族経営(小さい農)
など、山上さんの取組と共通点が非常に多いように思います。
生産者と消費者という形で、つながりを作り、安心して食べることはきっと大事になってくるでしょう。
また、繰り返しになりますが、農家の方の哲学は本当に面白く、非常に学びが深いです。
是非、皆さんも生産者に会いに行ってはいかがでしょうか。