オススメ本10冊、vol.2をご紹介。
第10位「バリアバリュー 障害を価値に変える」
車椅子から見える高さ106センチの視点という、他の人とは違う視点を生かし、ユニバーサルデザインという市場で、設立6年目にして、年商2億円の企業に成長した株式会社ミライロの代表取締役、垣内氏の著書。
「バリアバリュー」とは、「バリア(障害)」を「バリュー(価値)」に変えること。
自分の「弱み」を「強み」に変えること、見方を変えることは、決して簡単ではなく、本書においても、筆者が「障害」に挑み、もがき苦しみ、自ら命を断とうとした場面について言及されています。
そこから、様々な出会いや出来事を経て、視点を変えるまでに至った筆者の思考の深さ、姿勢には驚くばかり。
人間誰もが「弱み」を持っているものです。その「弱み」を「強み」にする発想の転換のヒントが得られる本だと思います。
第9位「県庁そろそろクビですか?」
本書の著者、円城寺氏は、全国初の救急車でのiPad活用やドクターヘリ導入で中心的な役割を果たした佐賀県庁職員。
現場を見て自分の頭で考え、自分の想いに素直に行動し、逆境に負けずに変革を実行していく姿に、心揺さぶられるものがありました。
印象に残ったのは、変革を実行する上でも、前例や既存制度を学ぶことを重要視していたこと。現実を直視した上で考えることのできる方なのだと思います。働く中で、過去を学ぶことの重要性を感じることが多かったので、非常に共感しました。
第8位「生物と無生物のあいだ」
この本は、「生物とは何か」という問について、ワトソンとクリックによるDNA構造の発見をはじめとして、様々なエピソードを交えながら、美しい文体で描かれています。
印象的だったのは、生物学の面白さに加え、筆者の研究者としての姿勢が非常に学びになるということ。「知的であることの最低条件は自己懐疑できるかどうか」という筆者の言葉が胸に刺さります。是非ご一読下さい。
第7位「人口18万人の街がなぜ美食世界一になれたのか」
サンセバスチャンとは、スペインバスク地方にある人口18万人の小さな街。たった10年で世界一の美食の街へ上り詰め、現在、人口1人あたりのミシュランの星数は最多。
成功の秘訣は、お互いの店のレシピを公開したこと。通常なら他店に負けないために、自分の店のレシピを隠すのが当然です。しかしながら、本事例の場合は、レシピをお互いに教え合い、地域全体の食のレベルが上がる方が、結果として各々の店に利益をもたらすはずだという判断が下されたところが非常に印象に残りました。オープンイノベーションの成功事例といっても過言ではないでしょう。ワクワクが止まらない本です。
第6位「農で1200万円」
借金、補助金、農薬、肥料、ロス、大農地、高額機械、宣伝費すべてなしで、年間売上1200万円(利益600万円)を稼ぐ秘訣が記された一冊。
一つ一つの戦略にバーデンダー、オーストラリアへの遊学、ホテルマン等の経験を生かした哲学が存在しており、納得できる考えばかり。
「小さい農」だからこそ、「リスク最小限で挑戦し、結果を踏まえて修正する」というサイクルが可能になっていることも大きく寄与しているのだと思います。まさに西田氏のおっしゃる「スモールメリット」です。
農業だけでなく、マーケティング、働き方など様々な学びになる本です。
第5位「暗号解読」
皆さんは、情報化社会に生きる私たちにとって、暗号が必要不可欠であることをご存知でしょうか。
本書は、古代文字の解読から、エニグマ、そして量子暗号までの様々な「暗号」について、筆者が、分かりやすく感動的に描いています。個人的には、どのようにして古代文字を読み解くことが出来たのか、というエピソードが好きです。
第4位「日々是好日ー「お茶」が教えてくれた15の幸せ」
本書は、筆者が25年間のお茶稽古を通して得た様々な「気づき」が凝縮された1冊。
すっと心に染み入る言葉に溢れており、非常に満足感が高い本です。
「日々是好日」とは、「天気の日も雨の日も、すべていい日」という意味。「人間はどんな日だって楽しむことが出来る。そして、人間は、そのことに気付く絶好のチャンスの連続の中で生きている。」という筆者の「気づき」が伝わってきます。
加賀百万石文化が今なお息づく文化県にせっかく身を置いていることもあり、自分自身も五感を磨き、感性を高めて、大切な「気づき」を増やしていこうと思っております。
第3位「破綻からの奇跡」
本書は、夕張市民が、市の財政破綻と病院閉鎖にもかかわらず、健康被害もなく最後まで笑顔で暮らし、医療費も減少したという事実に迫る1冊。
その要因について、元夕張市立診療所所長と生徒2人という講義形式で分かりやすく検証していきます。
キーワードは、
・市民の死生観の変化~「人事を尽くして天命を待つ」~
・在宅生活を支える医療・介護体制の充実
・きずな貯金~地域でお互いを見守りあう体制~
今後、超高齢化社会を迎える日本にとって非常に参考になる一冊。
第2位「気仙沼ニッティング物語」
本書は、1着15万円のカーディガンに予約が殺到し、初年度から黒字を達成した「気仙沼ニッティング」についての1冊。著者は、御手洗珠子さん。
本書では、
・「被災地が復興する」とは
・「地方から価値を生み出す」とは
という問いについて考えを深めることが出来ます。
人柄が伝わってくる柔らかい文章の中にも、著者の鋭い視点が盛り込まれていて、非常に勉強になりました。オススメです。
第1位「経済学者 日本の最貧困地域に挑む」
本書は、経済学者である鈴木亘教授が、多数の利害関係者を巻き込みながら、誰も手を付けられなかった、日本最大のドヤ街「あいりん地区」の地域再生に挑む物語。
筆者が語る本書のテーマは以下の2点。
①改革の「実行」
本書においては、行政不信の者も多い中、利害関係者をいかに巻き込み、改革を実行していくかというプロセスが描かれています。生々しい人間ドラマです。
②「社会の正しい縮み方」を探る
今後の超少子高齢化社会を迎えるにあたっては、現在の居心地の良い仕組みを離れ、縮みゆく時代の新しい仕組みを作る必要があります。あいりん地域は、日本の「最貧困地域」であり、「課題先進地」。本事例は、日本の多くの地方や、日本全体のヒントになると思います。
2016年は56冊読むことが出来ました。
来年も精進していきたいです。