今回は、僕が大学1年時にアメリカ西海岸を1か月ほど旅した時のエピソードについてです。
・現地発多国籍ツアーとは
私が参加したのは、いわゆる「現地発多国籍ツアー」。
海外の会社が運営を行っており、海外の人(英語圏)と一緒にバンに乗って、アメリカ西海岸を旅するというもの。日本人向けではなく、英語圏の人が仲間と一緒にアメリカを旅をするというのが主な趣旨です。
ツアー人数は15人で、日本人は大抵1人いるかいないが普通らしいのですが、迷わず1人で申し込みを決定!
・参加した理由
なぜ、このツアーに参加しようと思ったかというと、引っ込み思案な自分にさよならを告げたかったから。
大学に入って、ディベートをするサークルに最初の数か月だけ所属していたのですが、なかなか積極的に発言や行動が出来ず、自分が考えていることも自分が言う前に言われてしまうというのはなんとも悔しいものでした。
分かっているのに、発言すればいいのに、どこかためらってしまうのは度胸不足だと感じました。
そこで、自分を鍛える場所に飛び込んでみれば何か変わるかもしれないと思い、単身でこのツアーに参加しました。
・聞き取ることの難しさ
今回のツアーには、珍しく日本人が四人。他のメンバーは、イギリス、アメリカ、オーストラリア、スペインといった顔ぶれ。
こちらから意見を伝えることはある程度可能なのですが、相手の発言を理解することが非常に困難。
発音がこれまで学んできたものとだいぶ異なり、話すスピードがとても速いのです。
基本的にずっと一緒にいるので、常に英語が話される空間に身を置くのですが、ジョークを誰かが言った場合、僕以外の皆が笑っているので、何が何だか分からないけれども、とりあえず愛想笑いをするということも多々ありました。
一対一で話すときも、二度聞きしてしまうことが多く、相手が諦めてしまうことも多かったです。
正直、自分がとても不甲斐なく感じて、とても辛い日々でした。
・ルームメイトの一言
この旅では、ルームメイトというのがいまして、二人ペアで部屋に宿泊します。
私のルームメイトは、スペイン人の学者さん。
英語、フランス語、スペイン語と語学堪能で、教養にあふれ、とても温厚で人間として尊敬できる人でした。
22時就寝となっていても、夜中の26時くらいまでずっと質問攻め(笑)
漢文について、日本文化について、ひらがなについて・・・と質問が尽きず、毎晩一生懸命英語で答えていました。もちろんスペイン人の学者さんからも多くを学びました。
そんな3、4日目の晩でしょうか。彼から一言言われました。
「どうして君はこのツアーに参加したんだい?
英語を学ぶためじゃないのかい?
僕は、スペイン語、フランス語を習得し、次は英語を習得したいと思ってこの度に参加したんだ。
君はせっかく自分を鍛える環境にいるにもかかわらず、どこか挑戦をためらっているように見えるよ。
ツアーメンバー(イギリス、オーストラリア、アメリカ人)は、母国語以外を学ぶという感覚がどれほど大変かということを理解していないし、君に対してもう少しゆっくり話してあげたらと思うことも多々あるけれど、彼らは君の英語教師じゃない。
彼らは仲間とともに旅をしに来ているんだ。
この旅を楽しむためにも、恐れを捨ててちゃんチャレンジすることが大事だと思う。」
私は、彼のこの一言で色々と吹っ切れた気がして、頑張ることにしました。
・どうやって英語の壁を乗り越えたか
急に英語力を高めるというのはなかなか難しいので、翌日から僕が取った方法は、
とにかく一対一で一生懸命会話して、自分の人柄、日本について分かってもらうことでした。
一対一の理由は、会話スピードをコントロールしやすいからです。
仲良くなりたいという一心で、とにかく話し続けました。
この努力をひたすら続けた結果、徐々に皆が話しかけてくれることも多くなり、会話もどことなくゆっくり話してもらえるになったのです。
会話の輪に入れてもらえることがとても嬉しかったです。
このメンバーとはとても仲良くなって、今でも連絡を取ったり、メンバーが東京に来たときは案内したり、メンバーの時はカップルだった男女が夫婦になったりという感じです。
改めて振り返ると、私に必要だったのは、英語力ではなくて、恐れずに相手と仲良くなろうとする気持ちだったのかなぁと思っています。
・共通言語は、英語じゃなくて笑顔~高橋優「福笑い」~
私の好きな歌に、高橋優の「福笑い」という曲があります。
「きっとこの世界の共通言語は、英語じゃなくて笑顔だと思う」という歌詞がまさに今回のエピソードを象徴しているような気がしてとても好きなんです。
英語という壁があっても、大事なのは仲良くなりたいという気持ち、挑戦する気持ちなのではないかと思っています。
チャレンジ精神があれば、貪欲に英語に触れるので、英語の壁も超えやすくなると思います。
挑戦する気持ちを失いかけていた時は、無理だ・・・・と思って、輪に入ろうとする努力をしてなかったのかもしれません。
この時以来、やらずに後悔するならやって後悔する、チャレンジ精神みたいなものを大事にするということが自分の軸となった気がしています。