「三文会」という勉強会、初参加。
今回のゲストは、EDAYAの山下彩香さん。
・三文会とは
三文会とは、毎週水曜日、本郷三丁目駅付近で開催している朝食会。
早起きして、色々な学生や社会人と意見交換し、自分の世界をちょっとずつ広げていける、そんなコミュニティにしたいという想いで運営。
・ものづくりを通して、失われつつある無形文化を次世代に伝えたい
今回のゲストスピーカーは、EDAYAの山下彩香さん。
奇遇にも当日の朝日新聞の顔欄に掲載。
山下さんは、東京大学を卒業後、訪れたフィリピンでの出会いを転機に、「ものづくりを通して、失われつつある無形文化を次世代へ伝えたい」という想いを抱くようになったそうです。
そして、EDAYAをファーストステップとして、“マイノリティーのエンパワーメント”をテーマに、アジアの地方で地域資源を生かしたブランド構築のロールモデルとなることを目指してらっしゃいます。
・EDAYAとは
EDAYAは失われつつある北ルソン・山岳先住民族に生き方にインスピレーションを受けたデザインと、その土地に受け継がれてきた精巧な職人技のコラボレーションによるステートメント・ジュエリー。
身に着ける全ての人に未来を切り開くイノベーターとしてのチカラを与えるという願いが込められています。
・感じたこと
お話を伺って、感じたことを簡潔にまとめたいと思います。
①その土地らしさを生かした産業 ~リスクを減らし、持続させていく~
欧米等は、大きなプロジェクトを推進することにより、貧困の解決を図ろうとします。
一方、山下さんは、リスクを減らし、ある程度の規模で持続性を持たせ、その土地らしさを守ります。
そして、「どう継承するか」「次につなげるか」を時代の流れとのバランスで考えるとおっしゃっていました。
「持続性」や「その土地らしさ」の大事さは、数多くの場面で感じてきました。
福島復興塾の方々と福島訪問した際の記事。
現地の人々の生活を考えることなく、あくまで経済的効果や数字のみを考えると、持続性が失われます。
現地の伝統文化の継承を考慮すると、短期的に物事を考えるのではなく、長期的に物事を考えることが重要だと思います。
・「文化保存」での日本人とカリンガ人の違い
日本では文化を資料として残す文化があり、いつの時代、どのような文化があったのかを知ることができます。
一方、カリンガ族は、文化保存を行う環境にありません。
理由として、
①カリンガ族では、口承で伝統継承するため、日本のように文化を記録をするということが根付いていないという点
②ペンやノート、カメラやビデオといった物自体の確保が金銭的理由で厳しく、物理的に記録できなかったという点。
③時代変化による生活の変化も伝統文化が失われつつあるという点。
かつて彼らは、棚田を作り、狩りを行い、自然神信仰に基づく精神文化を大切にしながら暮らしていました。
しかし、その生活は日々変わり続け、お金のために、村を離れ、小規模金鉱山で鉱夫として働く人や海外へ出稼ぎに行く人が多く見られるようになってきたそうです。
このような状況のため、山下さんが現地調査に訪れた際には、子供たちに伝統文化がしっかりと継承されているとは言い難い状況だったそうで、守っていかなくてはいけないと感じられたそうです。
そこで、山下さん達は、伝統文化をブランド化して売り出す場合、しっかりと元の文化がどのようなものであるかということを記録し、共有した上で作品を作ることに決めたそうです。
ワークショップ等も現地で行い、文化継承につとめているとのこと。
・売りたいものと売れるもの
・市場調査をしっかり踏まえて、売れる商品を作ること
・自分たちが継承していきたい伝統文化の現地らしさを生かした商品を売ること
以上の2つのバランスをとることが難しいそうです。
具体的には、市場調査によると、日本では小さいピアスが人気であるため、小さいピアスを販売すれば売れるが、自分たちは、現地らしさを生かした大きいピアスを売りたいという場合。
確かに売りたいものを売りたい気持ちは分かりますが、売れないとお金が稼げないので、持続性もなくなり、次世代に継承していくことも厳しくなります。
市場調査をこれからどんどん行っていくということだったので、売りたいものがどこで売れるかということを突き詰めていってほしいと思った次第です。
・情熱
とにかく情熱が素晴らしかったの一言。
生き生きとしていて、お話が尽きないほどでした(笑)
「やらずに後悔するのではなくて、とりあえずチャレンジしてみる」とおっしゃっていて、非常に共感しました。
山下さんのようにとことんチャレンジする姿勢を見習いたいと思います。
EDAYAのワークショップや展覧会等はよく行われているということでしたので、皆さんも一度訪れてみてはいかがでしょうか。