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薩摩の國から

地域づくりを中心に様々なテーマについてまとめていきます。

企業理念「お客様が先、利益は後」の浸透  ~山奥の小さなタクシー会社が届ける幸せのサービス~

山奥の小さなタクシー会社が届ける幸せのサービス

来週から富山県氷見市を訪れますが、NPO運営コミュニティバス問題についても考えるため、交通サービスのあり方のヒントになればと思い、手に取った一冊。

・乗れば幸せ、乗らなくても安心する中央タクシー

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著者の宇都宮恒久さんが会長を務める中央タクシー株式会社は、乗れば幸せ、乗らなくても安心する中央タクシーと言われるほどのサービスを提供しています。

 

一体どのようなサービス提供が行われているのか?

本に掲載されているエピソードをご紹介したいと思います。

・エピソード

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驚きのエピソードの数々が本書には掲載されています。

僕が特に印象に残ったエピソードを掲載したいと思います。

 乗務を始めて二か月足らずの新人さんが早朝、長野駅へ三人連れのお客様をお迎えに上がりました。

 お父さんとお母さんと小さな男のお子さんです。親戚の結婚式に出席するために東京からやってきたのです。

 乗り込んだお母さんが乗務員さんに声をかけました。

「どこかに衣料品店があれば寄ってもらえませんか。」

 長野の冬の寒さを考えると、お子さんの服装はいかにも薄着でした。靴下も薄手のものをはいています。東京から来たお客様は長野のあまりの寒さに、子供が風邪を引かないか心配したのです。しかし早朝のこと、どのお店も開いていません。

 結婚式は車で一時間かかる、さらに気温も低い山の上の教会で行われます。開店を待っていたら結婚式には間に合いません。式に遅れるわけにはいきませんから、衣料品店に立ち寄るのはあきらめ、式場へそのまま直行しました。

 乗務員さんはそのご家族を無事お届けし、戻ってきます。

 三十分ほど走ってきたときです。ロードサイドに今開店したばかりの衣料品店を見つけました。乗務員さんは少しの迷いもなく衣料品店に立ち寄り、店員さんに相談しました。

「厚手の靴下がほしいんです。このくらいの大きさのお子さんです。」

 乗務員さんはサイズを間違えてはいけないと、念のため二つのサイズの冬物の靴下を買い、今来た道を再び山の方へ走りはじめました。

 三十分かけて教会に到着すると、

「どうぞこれつかってください。」

 とお渡しし、驚くお母さんにお礼を言わせる間もなくそのまま戻ってきたのです。

乗務員は、寒がる子供もそれを心配する親も、さぞかし心細かろうと想像を広げたのです。

 

そして、次のお客様を乗せるという利益のことを考えるよりも先に、先ほど乗せたお客様のために、ロードサイドで開店したばかりの衣料品店を見つけ、靴下を購入し、届けたのです。

お客様が先、利益は後 ~マニュアルではなく、企業理念の浸透~

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中央タクシーの素晴らしいサービスは、決してマニュアルに基づくものではありません。マニュアル化できるものでもありません。

 

「お客様が先、利益は後」という中央タクシーの理念の元、一人一人の乗務員が、現場において、自分の頭考え、実行しているからこそ、素晴らしいサービスが可能となるのです。

 

企業理念共有されている段階まで到達している企業は多いかもしれませんが、浸透し、現場で実行されている段階まで到達している企業は中々ないのではないでしょうか。

 

・企業としての持続性

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「お客様が先、利益は後」という理念は素晴らしいとは思いますが、利益が出ないと企業として存続できない、というのもまた事実。

 

では、実際の利益状況はどうなっているのか?

 

地方のタクシー会社は97%赤字と言われている一方、中央タクシー利益を出しています。長野市のタクシー1台の月の売り上げの平均は40万円。これに対し、中央タクシー110万円を超えているのです。

 

理由としては、

・最高のサービスにより、信頼を獲得ブランド化し、リピーターが多いこと。

一般的なタクシーが避ける客層(短距離客、乗降補助が必要な客)に対しても、対応しているため、取りこぼしがない。

等が挙げられると思います。

 

「お客様が先、利益は後」という理念はあっても、普通の人であれば、利益がちらついてしまい、理念の実行が中途半端に終わってしまいそうですよね。

 

理念を本気で徹底することによって、突き抜けた最高のサービスが成され、結果として利益も出ているのだと感じました。

 

荀子の言葉、「先義後利」がまさに体現されていますね。

読み終わった後に、心が温まる一冊、一年の初めに読んでみてはいかがでしょうか。